社長のひとりごと

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このコーナーは、わが社の社長「大鎌 博」が日々感じたことや、気づいたこと、為になる格言等、思いついたままに綴った、つぶやきコーナーです。

私達社員も、いつも読んで、新たに気づかされたこと、励まされたこと、勉強になって、仕事に活かせたり・・・、そんな社長の人となりを是非皆様に知っていただきたくて、このコーナーを作り、連載することにしました。

是非お部屋探しの合間にでも気楽に読んでいただければ幸いです。

No.58

                                   

                      

<一語の違いでホタルは飛び交う>

 その昔、国語の教科書に載っていたという「米洗ふ前を蛍の二ツ三ツ」(明治23年の落合直文『将来の国文』に「こはある有名なる俳諧師がものしたる句なり云々」とあるが、作者の名前は書かれていない)の俳句が作られた時代は相当に古そうですが、その一方、教育の場ではこれも古くから日本語の文法の勉強の題材とされて来たようです。(『日本語びいき』清水由美 中公文庫)

勉強の現場では、この一句をものにした作者が自分の師のところへ持って行き推敲する場面が、まさに後の国語の授業の材料とされる内容にピッタリだったのです。

① 米洗ふ前を蛍の二ツ三ツ ② 米洗ふ前に蛍の二ツ三ツ ③ 米洗ふ前へ蛍の二ツ三ツ ④ 米洗ふ前で蛍の二ツ三ツ 

 というように、格助詞という品詞を「を」とするか、または「に」に、あるいは「へ」に、そして「で」にするかによって、それぞれ句のイメージがずいぶんと違ってきます。

と、その前にこの句ですが、「米洗ふ」の場所のイメージがない方もいるかもしれません。そこは今や日本からは消えた、日々の台所仕事が営まれていた屋外の、飲み水にできるほどの清水が流れている生活用水の洗い場でのことです。仕事で遅くなったのか、この日はホタルが飛び交いはじめる時間帯に、夕餉の支度をしているところだったのでしょう。

さて、師匠曰くが「前に」だとホタルが死んでいる、とされます。また「前へ」では、生きてはいるが一度通り過ぎてそれっきりだ、といいます。そして「前を」ならホタルが行ったり来たりとふわふわと飛び交っている感じがするので「を」がよいのだ、とします。さて④の「前で」は、師との推敲には登らなかった例です。おそらく「で」ではホタルの動きが勝手気儘すぎて、一つの句としてまとまらなかったからでしょう。

 ところで、そんな細かいことはどうでも良いじゃないかという立場もあるかもしれません。ただ私たちの現場では、言葉の遣り取りのちょっとした<綾>から、もの事が不意に取りつく島がなくなって<負>の方向に入り込んだり、そうかと思うと逆にそれまでの停滞状態がウソのように、突然前向きに開けたりすることもあります。やたらと厳密になり過ぎることはありませんが、私たちの言葉が醸し出すニュアンスには十分留意したいですし、上手に使うことで、それまで滞留していた淀みが清流へと変る契機にもなるでしょう。

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